キャリア理論01|シャインの理論.2
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キャリア理論01|シャインの理論.2(3つのサイクル)
シャインって
前回は、シャインの理論.1として、組織文化とキャリア発達をご紹介しました。今回はシャインの理論.2として「3つのサイクル」をお届けします。
Edgar Henry Schein(1928-2023)アメリカ合衆国で組織心理学分野の心理学者であり、特に組織文化とキャリア発達(8つのキャリア・アンカー)に関する理論で知られています。具体的には、組織と個人の相互作用に着目し、個人の成長がどのように発達するかを理論体系化しました。
3つのサイクル
シャインは、人が生きていく領域として、「生物学的・社会的」「家族関係」「仕事・キャリア」といった3つのサイクルに分類し、これらのサイクルは相互に影響し合いながら、個人の成長や発展を支えると説明しました。
- 生物学的・社会的サイクル:個人の健康、年齢、社会的な地位や役割など表すサイクルです。例えば、健康であることが、仕事のパフォーマンスや家庭生活に直接影響を及ぼすことを示しています。
- 家族関係サイクル:家族との関係や家庭内での役割などを表すサイクルです。結婚や子育て、親の介護などのライフイベントが含まれています。例えば、家庭が安定していることで、仕事上のストレスを軽減され、キャリアに良い影響を与えることを示しています。
- 仕事・キャリアサイクル:職業生活やキャリアの発展を示すサイクルです。このサイクルには、地位などの階層を上昇に向かう垂直方向で示した「外的キャリア」と、水平移動する職能や、中心に向かう技能や部内者化などを示した「内的キャリア」の2軸があります。昇進や昇格などは「外的キャリア」として、仕事での成功や満足感は「内的キャリア」として理解されます。また、このサイクルは個人の自己実現や家庭生活の質にも影響を及ぼします。その概略は、「組織の3次元モデル、キャリアコーン」として呼ばれています。
これらのサイクルは独立して存在するのではなく、互いに影響し合っています。例えば、仕事でのストレスが家庭生活に影響を与えたり、家族のサポートが仕事に対して、パフォーマンスを向上させたりします。これらの3つのサイクルのバランスを取ることは、長期的なキャリアの成功と幸福に繋がると、シャインは理論を展開しました。
サンプル年代ステージと3つのサイクル
大学生、社会人(10年未満、20未満、21以上)の各段階に分けて考えると、それぞれのライフステージにおける課題や優先事項が見えてきます
- 大学生
<生物学的・社会的サイクル> 健康管理や社会的スキルの習得が重要です。友人関係やサークル活動を通じて社会的なネットワークを広げます。
<家族関係サイクル> 家族や周囲からのサポートを受けつつ、自立に向けた準備を進めます。これまでサポートを受けていた方々との関係が大きな支えとなります。
<仕事・キャリアサイクル> 就職活動やインターンシップを通じて、将来のキャリアを模索します。自己分析や職業選択が中心となります。またアルバイトの経験なども有効です。 - 社会人10年未満
<生物学的・社会的サイクル> 健康維持とストレス管理が重要です。仕事とプライベートのバランスを取ることが求められます。
<家族関係サイクル> 結婚や子育てが始まる時期です。家庭と仕事の両立が課題となります。
<仕事・キャリアサイクル> キャリアの基盤を築く時期です。スキルアップや昇進を目指し、職場での役割を確立します。 - 社会人20年未満
<生物学的・社会的サイクル> 健康管理がさらに重要になります。社会的な役割も増え、地域活動やボランティアに参加する機会が増えます。
<家族関係サイクル> 子供の成長や親の介護が課題となります。家族のサポートが求められます。
<仕事・キャリアサイクル> キャリアのピークを迎える時期です。これまでの経験を活かした言動が求められます。また、後進の育成にも力を入れる時期です。 - 社会人21以上
<生物学的・社会的サイクル> 健康維持と老後の準備が重要です。次の社会的な役割を考え始めます。
<家族関係サイクル> 子供の独立や親の介護後の生活を模索することが始まります。
<仕事・キャリアサイクル> これまでのキャリアの総仕上げの時期を迎えます。これまでの知識や経験を活かした次のキャリアをスタートさせる時期です。
いかがでしたか?シャインの、人が生きていく領域として、3つのサイクル「生物学的・社会的」「家族関係」「仕事・キャリア」について、そしてサンプル年代ステージにおける3つのサイクルを取り上げました。ここ最近、より働き方の変化が大きく、シャインの3つのサイクルの相互作用は人により大きく変化しています。しかし、キャリアと向き合う際にこの3つのサイクルのバランスを知ることは個人の成長や発展に不可欠です。この機会に3つのサイクルを俯瞰されてはいかがでしょうか。次回は、シャインの理論.3(組織内キャリアの発達9段階※)についてお届けします。
※ここでは便宜上大まかに9つの段階で示しています
この記事を書いた人
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