キャリア理論07|ブリッジズの理論.2

前回の振り返り

前回（ブリッジズの理論.1）では、キャリアの転機における「変化（Change）とトランジション（Transition）の違い」をお届けしました。

• 変化（Change）：外的な出来事（例：転職、昇進）。
• トランジション（Transition）：内的な心理プロセス（例：古い役割を手放し、新しい役割に適応する心の地図）。

ブリッジズは、この内的なトランジションへの対処こそが、転機を成功させる鍵だと強調しました。では、その「心の地図」はどのように進むのかが、今回のテーマです。

トランジションは3つの段階で進む

ブリッジズは、トランジションを「終焉（Ending）→中立圏（Neutral Zone）→開始（New Beginning）」という3つの段階で捉えました。これは、単なる気持ちの変化ではなく、心理的な再編成のプロセスです。

1.終焉（Ending）：手放す段階

変化に伴い、これまでの役割・習慣・人間関係を手放す段階です。この時期には、喪失感や不安、怒り、混乱といった感情が生じやすくなります。

2.中立圏（Neutral Zone）：創造の段階

古いものを手放した後、新しいものがまだ定着していない不安定な時期です。この時期は、混乱や空虚感がある一方で、創造性や再編成のチャンスでもあります。

3.開始（New Beginning）

新しい役割や価値観に同一化し、エネルギーを取り戻す段階です。この時期には、希望や意欲が湧き、行動が安定してきます。

Take-Home Message

トランジションの3段階は、キャリアの転機を乗り越えるための「心の地図」です。今、自分がどの段階にいるのかを知ることで、必要な支援や行動が見えてきます。

次回は、「キャリア理論08｜ブリッジズのトランジション理論.3（ブリッジズのトランジション理論.3（キャリア意思決定・行動へのマッピング）」として、トランジションの3段階が、キャリアの選択や行動にどう影響するかを深掘りしていきます。