キャリア理論07|ブリッジズの理論.3

キャリアに
アイディアを

働くためのアイテム

「働くためのアイテム」を探究することで、変化の激しい社会の中で、私たち一人ひとりが、主体的に自身の希望や適性、そして能力を生涯にわたって発揮できるます。私たちの未来をより豊かにするために、キャリアにアイディアというエッセンスを加え、働くためのアイテムを一緒に探っていきましょう。

挑戦し続ける力

自分だけの価値観で、豊かな人生をデザインする。

もっと自分らしく生きたい!そう思える社会、そしてより多くの人々が自分自身の人生と向き合い、より豊かな人生を送るきっかけつくりをHCCジャパンはお手伝いします。

Information

「キャリア理論07」では、ウィリアム・ブリッジズ(William Bridges, 1933–2016)の個人が変化にどう適応していくか「変化(Change)」と「トランジション(Transition)」に焦点を当てて、全4回でお届けします。

キャリア理論07|ブリッジズの理論.3(キャリア意思決定・行動へのマッピング)

前回の振り返り

前回(ブリッジズの理論.2)では、トランジションが「終焉(Ending)→中立圏(Neutral Zone)→開始(New Beginning)」という3つの段階で進む心の地図であることを解説しました。

キャリアの転機では、「何を選ぶか」という能力や情報だけでなく、「その選択をどう実行するか」が問われます。ブリッジズの理論は、意思決定や行動の背景にある心理的な準備状態を見立てるための、極めて有効なフレームです。では、トランジションの各段階とキャリア行動の関係について見ていきます。

1.終焉(Ending)の意思決定

この段階では、過去の価値観や役割を手放す必要があります。
しかし、未練や不安が強いと、意思決定が先延ばしになったり、現状維持を選びがちです。

キャリア事例就活生の場合:「学生生活が終わるのが怖い」「社会人になりたくない」→ 内定辞退や就職活動の停滞につながることも。

社会人の場合(転職・雇用形態の変更など):「前職の人間関係が忘れられない」「前の働き方が恋しい」→ 転職後の迷いや、正社員への移行に踏み切れないケースも。
ポイント「何を手放す必要があるか?」を明確にする。
感情の整理と意味づけの再構成を促す。

2.中立圏(Neutral Zone)と行動の試行

この段階では、不安定さと創造性が同居します。行動は試行錯誤的で、成果が見えづらい時期ですが、ここでの「小さな実験」が新しいキャリアの土台になります。

キャリア事例就活生の場合:内定先でのOJTやアルバイトを通じた職場文化や業務体験など、先輩から具体的な経験談を聞く、業界の最新情報を調査するなど→ 自分に合う働き方を探る行動が重要。

社会人の場合(転職・雇用形態の変更など):新しい職場での仮担当、社内プロジェクトへの参加→ 自信を取り戻すための「安全な挑戦」が鍵。
ポイント試行の場をつくる(仮配属、メンター制度、OJT、アルバイトなど)。
不安定な気持ちなどを言語化し、家族やカウンセラー、メンターなどと共有する。
「この転機は自分の成長の機会だ」と意味づけの再編集を行う。

3.開始(New Beginning)と行動の定着

この段階では、新しい役割や価値観に同一化し、行動が安定してきます。意思決定は前向きになり、目標設定やキャリアの再構築が進みます。

キャリア事例就活生の場合:社会人としての自覚が芽生え、職場での役割を果たす→ 自主的な行動や学びが増える。

社会人の場合(転職・雇用形態の変更など):新しい職場で成果を出し、正社員としてのキャリアを築く→ 自分らしい働き方への再定義が始まる。
ポイント目標設定と行動計画を早期に構築する。
新しい役割への同一化(自分らしく働ける)を意識する。

参考)ケースで見るトランジションと行動の関係

ケース終焉中立圏開始
就職(大学生)学生生活の終わり入社前の不安と準備社会人としての定着
転職前職への未練新職場での試行錯誤新しい役割への同一化
非正規→正社員不安定な働き方の手放し正社員としての責任への戸惑いキャリアの再構築

Take-Home Message

キャリアの意思決定や行動は、能力や情報だけでなく、心理的な準備状態(トランジションの段階)によって大きく左右されます。

チェック
  • 今、あなたはどの段階にいますか?
  • その段階にふさわしい行動は何でしょうか?
  • 次の段階に進むために、どんな小さな一歩が必要ですか?
セルフ
ワーク

転機に直面している方は、ぜひこの問いを自分に投げかけてみてください。

  • あなたの最近のキャリア転機を、終焉/中立圏/開始に分けてみましょう。
  • それぞれの段階で、どんな行動を取ったか/取れなかったかを振り返ってみましょう。
  • 今の自分に必要な「小さな一歩」は何ですか?

次回は、「キャリア理論08|ブリッジズのトランジション理論.4(支援ツールと戦略)」として、各段階に応じた支援方法やセルフマネジメントのツールを紹介します。

この記事を書いた人

プロフィール

May 2022~

HCC Japan LLC

CEO

April 2023~

Waseda University in School of Human Sciences (e-school)

Human Informatics and Cognitive Sciences

March 1996

Tokyo University Of Agriculture in Faculty of Bioindustry

April 1996〜March 2022

Eli Lilly Japan K.K. 

Sales & Marketing
Sales Manager
Sales Operator

October 2023~February 2025

Waseda University Senior High School

Teaching Assistant (Information Technology)

April 2025~ July 2025

Waseda University School of Human Sciences

Teaching Assistant (Collaborative Learning and the Learning Sciences)

会社概要
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