採用面接

1. 採用面接でのシーン

先日、採用面接を終えた大学学部生と話したときのことです。
わたし「採用面接どうだった?」
学部生「準備していた内容以外のことを聞かれて焦っちゃって…、上手に返答できたどうか自信ないです。」
わたし「全力を尽くしたのであれば大丈夫!ちなみにどんなことを聞かれたの?」
学部生「『もし、あなたに非がなかったことで謝罪を求められたらどう対応しますか?』という質問でした。」
わたし「それで何と答えたの?」
学部生「『とりあえず謝ります。」と答えて、『それから…?』と聞かれたので、『相手の怒りが収まるまで謝り続けます』と答えました。バイト先での経験から、相手が怒っているならこちらに非がなくても謝る方がいいと思っていたので…。」

2. 過去の経験から考える

今は、インターネットであらゆる情報が手に入る時代です。言い換えれば、経験が無くても、例えばYouTubeを見れば多くのことがわかる世の中です。

しかし、「知っていると」と「経験したこと」にはとても大きな差があります。そして企業は面接者がそれまでどのような実体験を持ち、その中でどのようなに対応したのかを特に知りたいのです。

先ほどの会話で「もし、あなたに非がなかったことで謝罪を求められたらどう対応しますか?」という面接官の質問の意図を考えると、「そのような経験があったのか?」「その時どのように対応したのか?」「そしてその対応から何を学んだのか?」を聞きたかったのではないかと推察します。

この学部生は「こっちに非が無くても謝る方がいいと、バイト先での経験があったので、そう答えた」と話していました。しかし、面接官にはそのバイト先での経験を伝えていませんでした。つまり面接官は、その学部生が実際の経験からそのように考えたのか、ただ単にそう思っていただけなのか、判断がつかなかったはずです。

では、どのように答えたら良かったのか、わたしの考えたストーリーは次の通りです。

1.質問に対して、自身が経験したことがあるか否かを答える
2.経験があれば、どのような場面で、どのように対応したのか、その反応からどう考えたのか、そして今どう活かされて(実践されて)いるのかを伝える
3.経験がなければ、経験がないことを正直に伝え、それでも意見を述べる許可を得てから、自身の考えを伝える

3. 価値観から考える

先ほどの会話「とりあえず謝ります。」を、もう少し読み解いてみましょう。例えば営業などの職種では、このような「非があるなしに関わらず謝罪を求められる」場合、一歩引いた対応として、まず相手に不快な感情を抱かせたことに謝罪することで、その後の処理がスムーズになることがあります。

しかし、業種や状況によっては、むやみに謝罪することで、その後の交渉が不利になることも考えられます。ここで重要なのは、その企業の価値観とあなたの価値観です。

前回のColumnで触れたエントリーシートの内容でも、企業が求めている人財について理解することの大切さを述べましたが、それ以上に重要なのは、企業の価値観(Value)を理解することです。企業の価値観が基底にあり、その同じ価値観をもった人財かどうかを面接官はみています。

もし、企業とあなたの価値観が異なる場合も考えてみたいと思います。これは面接などであなたが感じ取る新たな情報から、いままで思っていた価値観と違うと感じるなどの場合を想定しています。

わたしの考えをお伝えすると、その価値観の違和感を感じたときは、その違和感を文字化することをオススメします。文字化することで、その違和感がより明確になり、その後の判断が行いやすくなります。

新卒採用と中途採用の観点で価値観が異なる場合も考えてみましょう。新卒採用の場合は、社会人経験が少ないため、就職先に馴染みやすいと考えられます。譲れない価値観以外は受け入れやすいかもしれません。一方で転職などの中途採用では、求められるスキルと報酬が合致していれば、価値観が多少異なったとしても、その企業を選ぶことがあるかもしれません。しかし、ある程度の社会人経験で得た価値観は、その後あまり変わらないことが多いため、価値観が大きく異なると、入社後のパフォーマンスに影響することも考えられます。

また選択肢が増えると、隣の芝生は青く見えることが多いです。その際、価値観を一つの指標として選択肢を考えることもオススメします。

4.とっさの判断

先ほどの会話に再度戻り「準備していた内容以外のことを聞かれて」とありました。多くの採用面接では、想定外の質問が飛び交うことがよくあります。そんな時に次の3点を心掛けることをオススメします

1.復唱(おうむ返し)し、感謝の意を伝える
2.自身が解釈した質問の意図を面接官に尋ねる
3.正直に答える

質問を受け答えが直ぐにまとまらないときは、復唱することで時間を稼ぐことができます。さらに、その質問を与えてくれたことに感謝の気持ちを伝えることで、面接官の好感を得ることができます。次に、質問の意図を確認することで、正確に答えたいという姿勢をアピールできます。そして最も大切なことは、正直に答えることです。面接官は数多くの人と接しており、その経験は非常に豊かです。正直であることは、最も強みとなるスキルであり、誠実さを示す絶好の機会です。

5.  Take - Home Message

採用面接のシーンから、これまでに感じてきたことを綴りました。考えたことではなく、具体的な実経験を交えて質問に答えることは、唯一無二の事実です。

一方で、自分の経験が少ないと感じる方も多いかもしれません。しかし、特別な経験が必ずしも必要ではなく、日常の出来事一つ一つにあたなの決断が存在します。その決断に至った経緯を形式知として理解する習慣をつけることが大切だと考えます。

そして最後に、面接には合否という結果が必ず存在します。しかし、その結果はあなた自身を肯定または否定しているわけではありません。それは、その企業にとっての判断であり、あなた自身の価値とは関係ありません。あなたの価値はかけがえのないものであり、自信をもって次の行動に移って欲しいと私は思っています。

次回は、就職活動前に考えることについて考えていきます

この記事を書いた人

プロフィール

March 1996

Tokyo University Of Agriculture in Faculty of Bioindustry

April 1996〜March 2022

Eli Lilly Japan K.K. 

Sales & Marketing
Sales Manager
Sales Operator

May 2022~

HCC Japan LLC

CEO

April 2023~

Waseda University in School of Human Sciences (e-school)

Human Informatics and Cognitive Sciences

October 2023~

Waseda University Senior High School

Teaching Assistant (Information Technology)

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