就職活動前に考えること
1. 就職活動のための準備は、いつから?
前々回、エントリーシートについて取り上げさせていただき、早速こんな質問をいただきました。「就職活動のための準備はいつから始めたらいいのですか?」
リクナビなど、新卒採用のウェブページを拝見すると、卒業(もしくは修了)前年次の6月以降に開始する学部(院)生が多いとあります。政府の見解によれば、内定が出されるのが卒業(修了)年次の6月だとすると、約1年かけて就職活動を行なっていると言えそうです。
一方で、例えば22歳で学部を卒業したと仮定し、定年が65歳とするならば約40年以上の会社員人生のスタートラインが1年で決まっているとも言えます。
もちろん、最初に就職した企業に定年まで勤めるということは、今の雇用環境やお互いのニーズに見合ったものではないかもしれません。しかし、少なくとも勤務する会社は変わったとしても、その職種を変えることは少ない、言い換えれば一度足を踏み入れた職種で仕事をすることが多いと言えます。
2. 職種を変える
では、なぜ一度足を踏み入れた職種で仕事を継続していくのでしょうか?結論から申しますと、新卒採用と中途採用の意味合いが異なるからです。新卒社員には教育を行い、その職種を身につけられるよう育成が行われます。つまり教育コストをかけてでもその職種のスペシャリストに育てることが責務であると言えます。一方で中途社員は、こちらもエントリーシートで触れましたが、すぐに成果を出せる人材であることを期待されて入社します。つまり中途社員には教育コストをかけたくない(企業カルチャーなどの教育は除く)というのが本音だと思います。
例えば、職種をITなどのエンジニアでスタートした場合、営業職への職種変更を伴う転職はとてもハードルが高くなります。もちろん、エンジニアでも交渉などの経験を持ち卓越したスキルがあれば、それまでの経験がさらに活かせますが、職種を変えることは業界を変えることよりも、意味合いが異なることを理解しておく必要があります。
3. 業種(業界)を変える
では業種を変えることはどうでしょうか?ここでは異なる業種(業界)で、これまでの職種を変えることなく転職することを指しますが、職種を変えることに比べて、それまでの経験が活かせることが多く期待できます。一方で、それぞれの業種には必ず慣行があり、それまでの常識が非常識になるといったことを経験するかもしれません。つまり、業種(業界)を変えることは、その職種の高いスキルと共に高い適応能力が求めらます。
4. 就職活動のための準備はいつから始めるか?
ここまで、新卒・職種・業種(業界)のキーワードを取り上げましたが、「そんな先のことまで考えられない」という声が聞こえてきそうです。それもその通りで、就職を決めることだけでも大変なことなのに、就職後のことまで考えることは、途方もないことです。しかし、大変なことを承知の上お伝えするならば、例えばあなたが学部3年生で現在6月だとすれば、たった365日で、約8400日にも及ぶ社会人人生がほぼ決まるのです。そこで、私の「就職活動のための準備はいつから始めるか?」の問いに対する考えは以下の通りです。
1.まずどんな職種があるのかを知る
2.その職種に対し
自身が好きな職種(A)
興味がある職種(B)
チャレンジしたい職種(C)
不向き・苦手な職種(D)
選びたくない職種(E)
などに分類する
まず、最初の「どんな職種があるのか」については大学入学時からスタートできると思います。検索で「職種 種類」などと入力すればすぐに入手できるはずです。そして2.にある「職種に対しての分類」は、お誕生日の前日に行うことを提案します。なぜ誕生日前日をオススメしているのかと言いますと、その年齢の最後の日に感じていることを記録するためです。例えば「18歳の最後の日にこの職種は苦手だと思っていたけど、19歳の最後の日には、なんだか興味がある職種に変わっていた」といった変化が手に取るようにわかるからです。価値観がとても大きく変化する時期でもあります。1年前と価値観が異なることもあるかもしれません。もちろん、変化がないことを理解することも大切です。変化がない場合は、その職種への自身の気持ちがより固まっている証と理解が深まるからです。
ここまで就職活動のための準備が整えば、あとは新卒向けの就職活動のイロハに準じて、インターンシップの検討や、業界研究、自己分析などのタイムスケジュールに沿ってスムーズに活動を行えるとわたしは提案します。つまりわたしの「就職活動のための準備はいつから始めるか?」の問いに対する答えは大学入学時です。
5. Take - Home Message
今回は、就職活動前に考えることと題して綴らせていただきました。
就活に関しては、多くの関連する企業や団体、そして大学内のキャリアセンターで様々な切り口から、手厚い活動のサポートが行われています。一方で、厚生労働省の発表では新規大学卒就職者の就職後3年以内の離職率が32.3%(令和2年3月卒業者)※であり、3人に1人は新卒入社した企業を去っている計算です。これは、決して少ない数字ではないと考えています。その離職の理由は様々ですが、多く挙げられる理由の一つに「仕事が合わない」があります。もしその仕事に対するモチベーションが高ければ、例えば離職理由に挙げられる「職場環境」や「人間関係」などは許容範囲になるかもしれません。
自身に合う仕事とは何かを考える際、業種(業界)に目が向きがちですが、まず職種を知ること、検討することが私にとってはスタートラインに立つための重要な要素だと考えています。ぜひ大学入学時に、職種を知り、検討することを始めてはいかがでしょうか。そして、もし遅かった…と思われたとしても、気づいた時がスタートです。ぜひ今からでも始められることをオススメします。
※厚生労働省Press Release(令和5年10月20日)
次回は就活とキャリアパスについて考えていきます
この記事を書いた人
プロフィール
Tokyo University Of Agriculture in Faculty of Bioindustry
Eli Lilly Japan K.K.
Sales & Marketing
Sales Manager
Sales Operator
HCC Japan LLC
CEO
Waseda University in School of Human Sciences (e-school)
Human Informatics and Cognitive Sciences
Waseda University Senior High School
Teaching Assistant (Information Technology)
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"いらすとすてーしょん"は独自のタッチで描いた
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