キャリア理論05|ハヴィガーストの理論.4
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キャリア理論05|ハヴィガーストの理論.4(老年期の発達課題)
ハヴィガーストの理論における老年期とは?
ハヴィガーストが定義する壮年期(Later Maturity)は、およそ60歳以降を指します。この時期は、職業生活の引退や身体的変化、家族構成の変化など、人生の大きな転換点を迎えるフェーズです。そして、キャリアの面では、職業からの引退=キャリアの終わりではなく、これまでの経験を統合し、新たな役割や生きがいを見出す時期として捉えることが大切です。
ハヴィガーストによる老年期における発達課題
ハヴィガーストは、老年期に達成すべき発達課題として、以下のような行動目標を挙げています。これらは、キャリアの最終章における適応と再定義に深く関わります。仕事からの引退を単なる終わりとしての「点」ではなく、これまでのキャリアを統合し、人生の最終章を豊かにするため「線」としての継続したプロセスとして捉えることを示唆しています。
- 身体的変化への適応:加齢に伴う身体的制約を受け入れ、健康管理や生活習慣の見直しを行う。これは、働き方の調整や生活リズムの再構築に繋がります。
- 退職と収入の変化に適応:職業からの引退後、年金や貯蓄など限られた収入で生活を維持する力が求められます。セカンドキャリアやボランティア活動など、収入以外の価値を見出すことが重要です。
- 安心・安全の生活環境を形成:住環境の整備、介護の準備、医療との連携など、安心して暮らせる生活基盤の構築が求められます。これは、キャリアの終盤における生活設計と密接に関係します。
- 退職後の配偶者との時間を形成:職業生活から解放された後、一転して家庭で過ごす時間が増えることから、長年の役割分担を見直し、パートナーと新たな関係性を再構築することが重要です。
- 配偶者との別れに適応:長年連れ添ったパートナーとの別れに向き合い、孤独や喪失感を乗り越える心理的適応力が求められます。新たな人間関係や社会参加が支えになります。
- 同年代との親和:同世代との交流を通じて、精神的な安定と社会的つながりを維持することが、生活の質とキャリアの継承に影響します。
- 社会的・市民的役割の受容:地域活動やボランティアなどを通じて、社会との関わりを持ち続けることが、自己の価値を再確認する機会となります。
この時期の課題をまとめると以下のようになります。
発達課題 | キャリアとの接点 |
身体的変化への適応 | 加齢に伴う働き方の調整や健康管理が、キャリアの持続性を決定づける。 |
退職と収入の変化への適応 | セカンドキャリアや社会貢献活動など、収入以外の価値をキャリアに見出す。 |
安心・安全の生活環境の形成 | キャリアの終盤における生活設計(ファイナンシャルプランニング)と密接に関わる。 |
退職後の配偶者との時間の形成 | 長年の役割分担を見直し、パートナーと新たな関係性を再構築することが、キャリアの最終段階における課題となる。 |
配偶者との別れに適応 | 精神的な安定を保つための新たなコミュニティや役割の獲得する機会となる。 |
同年代との親和 | 職場のネットワークから、地域や趣味のコミュニティへと活動の場を広げ、新たな社会的役割を築く。 |
社会的・市民的役割の受容 | これまでの職業経験を活かし、社会貢献を通じて新たな生きがいを創造する。 |
老年期における発達課題とキャリア形成との接点
老年期の発達課題は、キャリア形成において以下のような意味を持ちます。
- キャリアの統合と意味づけ : この時期は、これまでの職業人生を振り返り、成功や失敗、そしてそこから得た学びのすべてを統合するフェーズです。これにより、単なる職務経歴を超えた、自己の存在意義や価値を見出すことができます。キャリアの物語に納得と意味を与えることで、穏やかな精神的成熟と自己肯定感が得られます。
- セカンドキャリア・社会参加の可能性 : 仕事から引退した後も、キャリアの可能性は尽きません。ハヴィガーストが示す「社会的・市民的役割の受容」という課題に取り組むことで、地域活動やボランティア、後進育成などを通じて、社会とのつながりを保ち、新たな役割を担うことができます。これまでのキャリアで培った知識や経験は、社会への「貢献の場」として機能し、新たな生きがいを生み出すことが期待できます。
- 生活設計とキャリアの終着点 : 退職に伴う収入や生活リズムの変化に対応し、安心して暮らせる環境を整えることは、キャリアの最終章における重要な課題です。これは、単なる経済的計画にとどまらず、「どのように人生を締めくくるか」という問いと向き合うことです。キャリアを終えることと、人生を豊かに生きることを両立させるための、具体的な計画と実行が求められます。
Take-Home Message
ハヴィガーストが示す老年期の発達課題は、キャリア形成において「統合と継承」のフェーズを象徴しています。この時期は、過去の経験を活かしながら、未来に向けて新たな価値を創出する転換点です。職業人生の総括を行いながら、社会との新たな関わり方を模索する転換点です。老年期は、キャリアの「終着点」であると同時に、人生の意味を再確認し、次世代に知恵を手渡すステージでもあります。キャリアは単なる職務の履歴ではなく、生き方そのものとしての価値を持つものへと繋がります。
次回は「キャリア理論06|ハヴィガーストの理論.5(まとめ)」として、壮年期・中年期・老年期の発達課題を総括し、キャリア形成におけるハヴィガースト理論の活用方法を整理していきます。

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