キャリアに
アイディアを
働くためのアイテム
- 1. キャリアに アイディアを
- 2. キャリア理論08|ニコルソンの理論.2(4つの適応パターンの詳細と事例)
- 2.1. 前回の振り返り:役割と自己の再設計
- 2.2. 4つの適応パターン:スタイルと軸の組み合わせ
- 2.3. ライフステージ別事例シート
- 2.3.1. 1. Absorption (アブソープション/吸収)シート
- 2.3.2. 2. Replication (レプリケーション/再現)シート
- 2.3.3. 3. Exploration (エクスプロレーション/探索)シート
- 2.3.4. 4. Determination (ディターミネーション/決定)シート
- 2.4. セルフチェック
- 2.5. Take-Home Message
- 3. この記事を書いた人
- 4. 会社概要-COMPANY PROFILE-
- 5. いらすとすてーしょん
「働くためのアイテム」を探究することで、変化の激しい社会の中で、私たち一人ひとりが、主体的に自身の希望や適性、そして能力を生涯にわたって発揮できるます。私たちの未来をより豊かにするために、キャリアにアイディアというエッセンスを加え、働くためのアイテムを一緒に探っていきましょう。
挑戦し続ける力
自分だけの価値観で、豊かな人生をデザインする。
もっと自分らしく生きたい!そう思える社会、そしてより多くの人々が自分自身の人生と向き合い、より豊かな人生を送るきっかけつくりをHCCジャパンはお手伝いします。

キャリア理論08|ニコルソンの理論.2(4つの適応パターンの詳細と事例)
前回の振り返り:役割と自己の再設計
前回(ニコルソンの理論.1)では、キャリア転機における「自己(I)と役割(Role)の再設計」という視点を紹介しました。ニコルソンの理論は、新しい役割に合わせて自分を変えるのか、役割を自分に合わせて変えるのかを考えるフレームです。その鍵となるのが、個人の発達(自分を変える)と役割の発達(役割を変える)という2つの軸です。この組み合わせによって、4つの適応パターンが生まれます。
今回は、この「4つの適応パターン」がテーマです。
4つの適応パターン:スタイルと軸の組み合わせ
ニコルソンは、1984年の論文「A Theory of Work Role Transitions※1」で、この2つの軸に基づく役割移行時の適応スタイルを以下の4つに分類しました。
| スタイル | 軸の組み合わせ | 特徴 | 役割移行の特徴 |
| Absorption (アブソープション/吸収) | 個人の発達(高) x 役割の発達(低) | 役割の要求はそのまま受け入れ、新しい知識・スキル・価値観を吸収して自分を変える。 | 役割への同一化と自己成長 |
| Replication (レプリケーション/再現) | 個人の発達(低) x 役割の発達(低) | 前の役割と同じやり方で新しい役割をこなし、自分も役割もほとんど変えない。 | 負担の小さい移行(前の役割と似た仕事で生じやすい) |
| Exploration (エクスプロレーション/探索) | 個人の発達(高) x 役割の発達(高) | 新しいことを学んで自分を変えながら、役割そのものも組み替えていく。 | 自己と役割の同時変革 |
| Determination (ディターミネーション/決定) | 個人の発達(低) x 役割の発達(高) | 自分の価値観ややり方は保ったまま、役割の目標や進め方を自分に合わせて形づくる。 | 役割の主体的な形成 |
※日本語訳は筆者によるものです。
※1Nicholson, N. (1984). A theory of work role transitions. Administrative Science Quarterly, 29(2), 172-191.
ライフステージ別事例シート
1. Absorption (アブソープション/吸収)シート
【個人の発達:高 x 役割の発達:低】 役割の要求はそのまま受け入れ、自分の知識・スキル・考え方を変えて適応するスタイル。新しい環境で急速に成長できますが、合わせることに集中するあまり、自分の考えを出しにくくなることもあります。
| ライフステージ | 具体的な事例 |
| 新卒社員 | 入社後、ビジネスマナーや業界知識、社内の仕事の進め方を一から学び、「学生」から「社会人」へと自己像を切り替える。仕事の進め方は先輩の型に従う。 |
| 成人前期(〜45歳) | 初めて管理職に昇進し、会社が定めるマネジメントの型(評価面談、予算管理など)を学びながら、プレイヤーとしての自分からマネジャーとしての自分へと考え方を変えていく。 |
| 中年期(45〜65歳) | 役職定年後、専門職として新しい部署に移り、その部署のやり方を受け入れながら、新しい分野の知識を学び直す。 |
2. Replication (レプリケーション/再現)シート
【個人の発達:低 x 役割の発達:低】 前の役割とほぼ同じやり方で新しい役割をこなし、自分も役割もほとんど変えない適応スタイル。前の役割と似た仕事への移行では負担が小さく効率的ですが、新しい要素が多い役割でこのスタイルを続けると、役割とのズレが広がりやすくなります。
| ライフステージ | 具体的な事例 |
| 新卒社員 | インターン先と同じ業界・同じ職種に入社し、インターンで身につけたやり方をそのまま活かして、大きな戸惑いなく業務を始める。 |
| 成人前期(〜45歳) | 同じ職種のまま別の支店に異動し、前任地とほぼ同じ手順で業務を続ける。 |
| 中年期(45〜65歳) | 同業他社へ同じ職種で転職し、これまでの経験と手法をほぼそのまま用いて成果を出す。 |
3. Exploration (エクスプロレーション/探索)シート
【個人の発達:高 x 役割の発達:高】 新しいことを学んで自分を変えながら、役割そのものも組み替えていくスタイル。新しさも裁量も大きい役割で生じやすく、大きな成長につながる一方、負荷が高くなりやすい点に注意が必要です。
| ライフステージ | 具体的な事例 |
| 新卒社員 | 新規事業部に配属され、事業の知識を学びながら、自分なりの仕事の進め方を提案し、役割そのものをつくっていく。 |
| 成人前期(〜45歳) | 新設ポストのリーダーに就き、必要なスキルを学びながら、役割の目標や範囲を自ら定義していく。 |
| 中年期(45〜65歳) | セカンドキャリアとして起業やNPOの立ち上げに挑み、新しい分野を学びつつ、自らの役割を一からデザインする。 |
4. Determination (ディターミネーション/決定)シート
【個人の発達:低 x 役割の発達:高】 自分の価値観ややり方は保ったまま、役割の目標や進め方を自分に合わせて形づくるスタイル。裁量の大きい役割で力を発揮しやすい一方、学ぶべきことを見落としたり、周囲と摩擦が生じたりすることもあります。
| ライフステージ | 具体的な事例 |
| 新卒社員 | 少人数のベンチャー企業に入社して大きな裁量を与えられ、学生時代に培った得意なやり方で、担当業務の進め方を自ら設計する。 |
| 成人前期(〜45歳) | 転職先で、前職で培った手法を活かし、チームの業務プロセスや会議の進め方を自分の考えで組み替える。 |
| 中年期(45〜65歳) | 管理職経験を活かし、新しく任された部署の方針や仕事の分担を、自身の経験に基づいて再設計する。 |
セルフチェック
簡易診断チェックリストです
◆ Absorption【個人の発達:高 x 役割の発達:低】
- 新しい役割に求められる知識・スキル・考え方を、積極的に学び取り入れていますか?
- 役割の要求に合わせることに集中するあまり、自分の考えや提案を出せていない場面はありませんか?
◆ Replication【個人の発達:低 x 役割の発達:低】
- これまでと同じやり方で、新しい役割もこなせていますか?
- 役割に新しい要素が増えているのに、やり方を見直さないままになっていませんか?
◆ Exploration【個人の発達:高 x 役割の発達:高】
- 新しいことを学びながら、役割そのものも組み替えていますか?
- 自分も役割も同時に変えようとして、負荷がかかりすぎていませんか?
◆ Determination【個人の発達:低 x 役割の発達:高】
- 自分の強みや価値観を活かして、仕事の進め方や目標を自分なりに組み替えていますか?
- 自分のやり方を優先するあまり、学ぶべきことを見落としたり、組織との摩擦が生じたりしていませんか?
Take-Home Message
適応スタイルは固定ではなく、役割の新しさ(新規性)や任されている範囲(裁量)、ライフステージ、そして個人の特性によって変化します。どのスタイルにも、生かせる場面と注意したい点があります。重要なのは、「今の役割には、どのスタイルが合っているか」を見極め、状況に応じて自分を変える部分と役割を変える部分を意識的に選ぶことです。
次回は、「キャリア理論08|ニコルソンの理論.3(個人の発達と役割の発達)」として、今回提示した「個人の発達(自分を変える)」と「役割の発達(役割を変える)」という2つの軸がキャリア成長にどう影響するかを、役割の特徴に合ったスタイルと、注意したいミスマッチという視点からご紹介します。

この記事を書いた人
プロフィール
HCC Japan LLC
CEO
Waseda University in School of Human Sciences (e-school)
Human Informatics and Cognitive Sciences
Tokyo University Of Agriculture in Faculty of Bioindustry
Eli Lilly Japan K.K.
Sales & Marketing
Sales Manager
Sales Operator
Waseda University Senior High School
Teaching Assistant (Information Technology)
Waseda University School of Human Sciences
Teaching Assistant (Collaborative Learning and the Learning Sciences)
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