キャリア理論02|パーソンズの理論.3
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キャリア理論02|パーソンズの理論.3(9つの適正能)
パーソンズって
前回は、パーソンズの理論.2として、「生物学的・社会的(個人的)」「家族関係」「仕事・キャリア」を支援するための7段階のプロセスをご紹介しました。今回はシャインの理論. 3として「9つの適正能」をお届けします。
Frank Parsons(1854-1908)は、アメリカ合衆国で司法学者であり、教育者でした。当時のアメリカにおける階級格差社会を指摘し、労働者が適切な職業を選択できるよう支援することを目指して研究を進めました。1908年に53歳という若さで亡くなりましたが、その3年後に、パーソンズの研究成果として「Choosing a Vocation(職業の選択)」が出版されました。この出版を契機に、今日のキャリア支援の動きの源流が生まれました。このことから職業指導の創始者とも呼ばれています。
3つの要素のおさらい
パーソンズは、人が生きていく領域として、「生物学的・社会的(個人的)」「家族関係」「仕事・キャリア」といった3つの要素に分類し、これらのサイクルは相互に影響し合いながら、個人の成長や発展を支えると説明しています。この3つ要素を支援するため方策を示したのが「7段階のプロセス」です。
7段階のプロセスのおさらい
パーソンズのキャリア理論に基づく7段階のプロセスは、現代のビジネスパーソンに対しても有効であり、自己理解を深め、最適なキャリアを選択し、成功を収めるための具体的なステップを提供しています。そして、このプロセスは「生物学的・社会的(個人的)」「家族関係」「仕事・キャリア」の各側面を支援するために設計されています。
9つの適正能
パーソンズは、自己理解と職業理解を深め、自身の最適な職業を選択できる支援をおこなったことから、その後、パーソンズのキャリア理論を基盤として、一般職業適正検査(GATB)が、アメリカの政府機関により開発されました。そして、このGATBは戦後GHQを通じて、日本に紹介され、GATB日本語版として改良がなされ、現在も用いられています。では、9つの適正能を一つずつみてみましょう。
9つの適正能の解説
- 知的能力(G: Intelligence):一般的学習能力。説明、教示や諸原理を理解する能力。推理し、判断する能力
- 言語能力(V: Verbal aptitude):言語の意味およびそれに関連した概念を理解し、それを有効に使いこなす能力。言語相互の関係および文章や句の意味を理解する能力。
- 数理能力(N: Numerical aptitude):計算を正確に速く行うとともに、応用問題を推理し、解く能力。
- 書記的知覚(Q: Clerical perception):ことばや印刷物、伝票類を細部まで正しく知覚する能力。文字や数字を直観的に比較弁別し、違いを見つけ、あるいは校正する能力。文字や数字に限らず、対象をすばやく知覚する能力。
- 空間判断力(S: Spatial aptitude):立体形を理解したり、平面図から立体形を想像したり、考えたりする能力。物体間の位置関係とその変化を正しく理解する能力。青写真を読んだり、幾何学の問題を解いたりする能力。
- 形態知覚(P: Form aptitude):実物あるいは図解されたものを細部まで正しく知覚する能力。図形を見比べて、その形や陰影、線の太さや長さなどの細かい差異を弁別する能力。
- 運動共応(K: Motor coordination):眼と手または指を共応させて、迅速かつ正確に作業を遂行する能力。眼で見ながら、手の迅速な運動を正しくコントロールする能力。
- 指先の器用さ(F: Finger dexterity):速く、しかも正確に指を動かし、小さいものを巧みに取り扱う能力。
- 手腕の器用さ(M: Manual dexterity):手腕を思うままに巧みに動かす能力。物を取り上げたり、置いたり、持ち替えたり、裏返したりするなどの手腕や手首を巧みに動かす能力。
9つの適正能のポイント
- 知的能力(G: Intelligence):思考力、判断力、問題解決能力、学習能力など、知的活動全般に関わる能力です。様々な知識や情報を活用し、論理的に考え、問題を解決する能力を測ります。
- 言語能力(V: Verbal aptitude):文章を理解する能力、言葉を適切に使う能力、コミュニケーション能力など、言語に関わる能力です。読解力、語彙力、文章構成力などを測ります。
- 数理能力(N: Numerical aptitude):計算能力、数量に関する理解力、データ分析能力など、数や数量に関わる能力です。計算の正確さ、スピード、数量的な問題を解決する能力などを測ります。
- 書記的知覚(Q: Clerical perception):文字や数字の識別、照合、分類など、事務処理に必要な知覚能力です。正確さ、スピード、注意力を測ります。
- 空間判断力(S: Spatial aptitude):物体の位置関係、形状、空間的な配置などを把握する能力です。図形を頭の中で回転させたり、展開図を組み立てたりする能力を測ります。
- 形態知覚(P: Form aptitude):図形や物体の細部を正確に識別する能力です。微妙な違いを見分ける能力、正確さ、注意力を測ります。
- 運動共応(K: Motor coordination):身体の各部を協調させてスムーズに動かす能力です。手と目の協応、全身のバランスなどを測ります。
- 指先の器用さ(F: Finger dexterity):指先を細かく正確に動かす能力です。細かい作業、手先の精密さ、スピードを測ります。
- 手腕の器用さ(M: Manual dexterity):手や腕全体を操作する能力です。物を掴む、運ぶ、組み立てるなどの作業に必要な能力を測ります。
検査を構成する下位検査と検査の方式
9つの適性能は、15 種類の下位検査によって測定されます。その、15 種類の検査のうち、11種類は紙筆検査で、4種類は器具検査となっています。
各検査右に適性能を表記しました
- 紙筆検査
- 検査1:運動共応
円打点検査 円の中に点を打つ検査
検査2:運動共応
記号記入検査 記号を記入する検査
検査3:形態知覚
形態照合検査 形と大きさの同じ図形を探し出す検査
検査4:書記的知覚
名詞比較検査 文字・数字の違いを見つける検査
検査5:形態知覚
図柄照合検査 同じ図柄を見つけだす検査
検査6:空間判断力
平面図判断検査 置き方をかえた図形を見つけだす検査
検査7:数理能力
計算検査 加減乗除の計算を行う検査
検査8:言語能力
語意検査 同意語かまたは反意語を見つけだす検査
検査9:知的能力・空間判断力
立体図判断検査 展開図で表された立体形をさがしだす検査
検査10:知的能力・言語能力
文章完成検査 文章を完成する検査
検査11:知的能力・数理能力
算数応用検査 応用問題を解く検査
- 器具検査
- 検査1:手腕の器用さ
さし込み検査 棒(ペグ)をさし込む検査
検査2:手腕の器用さ
さし替え検査 棒(ペグ)を上下逆にさし替える検査
検査3:指先の器用さ
組み合わせ検査 丸びょうと座金を組み合わせる検査
検査4:指先の器用さ
分解検査 丸びょうと座金を分解する検査
対象
GATB(進路指導・職業指導用)の適用範囲は、原則として 13~45 歳未満の一般求職者となっています
9つの適正能のまとめ
アメリカで開発された9つの適正能は、開発国のアメリカではその利用が少なくなってきているようですが、我が国では、現在もその利用頻度は高く、活用されているため、学校現場では進路指導やハローワークなどで用いられています。しかし、このパーソンズのキャリア理論である特性因子論を基盤とした9つの適正能は、個人の成長や発達について考慮されていないことを理解しておくことが肝要です。
ここまで、パーソンズの理論.3として「9つの適性能」について、ご紹介しました。次回は、ホランドの理論をスタートします。ホランドは、個人の性格特性と働く環境との適合性が、職業選択やキャリアの満足度に大きく影響するという理論を展開しました。ホランドの理論.1は「6つのタイプ(RIASEC)」についてお届けします。

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