この回でわかること
- ハンセンの視点で見た「転機」=人生の4つのLの配置が変わる瞬間
- 危機を、新しい布を縫い足すための「サイン」として読む見方
- 転機を活かすための「再配置(Re-design)」の4つの問い
前回(第1回)からのつながりを読む
第1回では、人生を4つのL(学び・働く・愛し支える・余暇)でできた一枚のキルトとして眺める見方を学びました。今回は、そのキルトが動き出す「転機」を、ハンセンの視点から読み解きます。
01転機とは「人生の布が動き出すとき」
同じ「転機」でも、光を当てる場所が違う
物語の書き換え
主に、内面の意味づけ。ライフテーマと物語が更新される心理の動き。
4つのLの再配置
主に、人生全体の役割の再配置。人生をつくる布の配置が変わる瞬間。
転機は「課題⑥」に位置づけられている
ハンセンは転機を、ILPの6つの重要課題のひとつ「個人の転機と組織の変化をマネジメントする」として位置づけました。
内面の次元も大切にしている
シュロスバーグ(キャリア理論09)の転機の考え方なども取り入れながら、意思決定のしかたや、人生の意味・目的(スピリチュアリティ)といった内面の次元も大切にしています。
先の見えない変化を前向きに受けとめる
ジェラット(キャリア理論16)の「積極的不確実性(Positive Uncertainty)」という考え方も紹介しています。
02転機は「人生のキルトの組み替え」である
人生には、大小さまざまな出来事が起こります。表面的には「外側で起きる出来事」に見えますが、ハンセンの視点では、人生を構成する布(4つのL)が動き始める前触れです。
- 職場異動・昇進・転職
- 家族結婚・離婚・出産・介護
- 健康病気・メンタルの揺らぎ
- 学び学び直し、キャリアチェンジ
- 人生観価値観の揺らぎ、モチベーションの低下
これは、あなたが弱ったからでも、選択を誤ったからでもありません。転機とは、何かが壊れる瞬間ではなく、新しい配置へと布が動き始める瞬間です。
03なぜ転機は苦しいのか?
仕事と家庭のバランスが揺らぐ。学び直したいのに時間がない。自分の時間が削られ、疲労が蓄積する。人を支えたいのに、自分が限界を感じる。これらは、あなたが弱いからでも、努力が足りないからでもありません。
人生の布が、少しずつ“引きつれ”を起こしている
- 布同士がぶつかっている
- 縫い目が引きつれている
- 配置が古いままで合わなくなっている
それは、人生の4つのLが今の配置のままではもう収まりきらなくなったサインです。揺れ・歪み・ほつれは、責めるべきものではなく、変化への準備が整い始めたことを伝える前向きな兆しです。
04「危機」は、新しい布を縫い足すための「サイン」
布が裂けると、そこには新しい布を縫い足せるスペースが生まれます。「裂け目」がどの布に現れているかによって、求められている変化が見えてきます。カードを押して、どの布へのサインか確かめてみましょう。
危機とは「布が壊れること」ではなく、
布を変えるチャンスが訪れたということ。
危機=終わり、ではありません。危機=次の模様が始まるための準備期間なのです。
05転機を乗り越える力は「再配置(Re-design)」
サビカスが示した物語の再構築は、内面を整理し、新しい意味を与えるための技法でした。ハンセンの視点を生活に引き寄せると、その物語を人生という布の上にどう配置するか、という問いが見えてきます。この記事では、次の4つの問いかけを手がかりにします。
今、大きすぎる布はどれか?
仕事(Labor)が、他の布を圧迫していないか? 働きすぎて、学びや休息が消えていないか?
逆に、縮みすぎている布はどれか?
Love(愛・支え合い)やLeisure(余暇)が、いつの間にか小さくなりすぎていないか?
どんな布を足す必要があるのか?
新しい学び(Learning)を増やす必要があるか? 休息の時間(Leisure)が足りていないのでは? 人とのつながり(Love)を取り戻したいのでは?
今の自分なら、どんな配置が最も心地よいか?
他人の価値観ではなく、「今の自分にとって最適なバランス」は何か?
06新しい模様は「違和感」から始まる
転機の前には、必ず小さな「違和感」が現れます。この違和感は問題ではありません。
違和感
- 今の生活がしっくりこない
- この仕事を続ける未来が描けない
- 遊びや余白を求めている自分がいる
配置の小さなズレ
- どれか一枚の布が大きすぎる
- どれか一枚が縮みすぎている
- 縫い目が少し引きつれている
最初の一針目
「今を、少し編み替えてみない?」次の模様(生き方)をつくるための、大切なシグナル。
転機とは、人生のキルトが
次の模様へ進むための「動き」である
- 転機は、人生の4つのLが今の配置に収まらなくなったサイン
- 危機は、新しい布を縫い足すための切れ目
- 再配置(Re-design)こそ、転機を乗り越える力
- 違和感は、次の模様の「最初の一針目」
「人生のキルトをどう縫い直すかは、いつだってあなた自身が決めてよい。」次の模様をどんな色にするかは、あなたの手の中にあります。
WORKあなたの人生のキルトは、いま何を語っているだろう?
一行でかまいません。直感で、いまのあなたの心に浮かぶ言葉を書き出してみてください。
最近の自分に起きている「転機」は何ですか?
大きな出来事でなくて大丈夫です。ちょっとした違和感、小さな揺れでも構いません。
その転機は、4つのLのどれに影響していますか?
どこで張りつれ、どこで縮まり、どこに余白が生まれようとしているのか感じ取ってみてください。
その動きは、どんな“新しい模様”のヒントをくれていますか?
それらはすべて、転機があなたに贈ってくれる未来への合図です。
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参考文献
Hansen, L. S. (1997). Integrative Life Planning: Critical Tasks for Career Development and Changing Life Patterns. San Francisco: Jossey-Bass.
Hansen, L. S. (2001). Integrating work, family, and community through holistic life planning. The Career Development Quarterly, 49(3), 261-274.
Skovholt, T. S., Hage, S. M., Kachgal, M. M., & Gama, E. P. (2007). An interview with Sunny Hansen: Pioneer and innovator in counseling and career development. Journal of Counseling & Development, 85(2), 245-253.
Gelatt, H. B. (1989). Positive uncertainty: A new decision-making framework for counseling. Journal of Counseling Psychology, 36(2), 252-256.