キャリア理論02|パーソンズの理論.1

パーソンズって

Frank Parsons(1854-1908)は、アメリカ合衆国で司法学者であり、教育者でした。当時のアメリカにおける階級格差社会を指摘し、労働者が適切な職業を選択できるよう支援することを目指して研究を進めました。1908年に53歳という若さで亡くなりましたが、その3年後に、パーソンズの研究成果として「Choosing a Vocation(職業の選択)」が出版されました。この出版を契機に、今日のキャリア支援の動きの源流が生まれました。このことから職業指導の創始者とも呼ばれています。

Choosing a Vocation (職業の選択)

３つの構成で書かれています
Choosing a Vocation(職業の選択)は、まず「労働者自身の情報を収集する方法」について述べ、次に「それぞれの仕事に必要なスキル」を明確にし、最後に「パーソンズ自身のこれまでの取り組み」について書かれています。この書籍を通じたアプローチは「特性因子理論」と呼ばれ、最も古いキャリア理論の一つとして知られています。

特性因子理論
1900年前後のアメリカでは、労働者が自分の職業を選択する機会は限られており、多くの人々は経済的な理由や社会的な制約から、与えられた仕事に従事することが一般的でした。このような背景の中で、パーソンズの特性因子理論は、労働者が自分の特性やスキルに基づいて適切な職業を選択することを支援する画期的なアプローチとして登場します。この理論は、個人の特性と職業の要求をマッチングさせることで、労働者がより満足感を得られる職業に就くことを目指しています。パーソンズのアプローチは、当時の社会において新しい視点を提供し、キャリア支援の基礎を築きました。

talent-matching approach (人と職業の適合)

現在では広く浸透しておりますが、パーソンズは、労働者の能力や特性が、その職業に求められるスキルと一致することで、労働者の仕事に対する満足度が高くなることを提唱した一人です。これを「talent-matching approach (人と職業の適合)」と表現しました。この「人と職業の適合」を基本として、労働者が職業を選択する3つの要素としてパーソンズは挙げています。

3つの要素

• 個人の特性（Personal Traits）：個人の興味、価値観、能力、性格など自分自身のことをしっかり理解すること
• 職業の特性（Job Traits）：望む職業や職務に対して、求めるスキル、知識、経験、価値観などの情報を得ること
• 適合（Fit）：個人の特性と職業の特性の一致度を理解すること(適合が高いほど、個人はその職業で満足感を得やすく、パフォーマンスも向上します)

ここまで、パーソンズの理論.1として「人と職業の適合:3つの要素」について、ご紹介しました。これらの要素は現代社会でも広く浸透しており、職業選択の基本を押さえた内容と言えます。この3つの要素は、日々の生活や環境によって変化します。ぜひ定期的に自己分析を行い、ブラッシュアップすることをお勧めします。

次回は、パーソンズの理論.2(7段階のプロセス)についてお届けします。