キャリア理論06|バンデューラの理論.3
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「働くためのアイテム」を探究することで、変化の激しい社会の中で、私たち一人ひとりが、主体的に自身の希望や適性、そして能力を生涯にわたって発揮できるます。私たちの未来をより豊かにするために、キャリアにアイディアというエッセンスを加え、働くためのアイテムを一緒に探っていきましょう。
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キャリア理論06|バンデューラの理論.3(自己効力感とキャリア意思決定・行動)
前回の振り返り
前回(バンデューラの理論.2)では、キャリアのエンジンとなる自己効力感を育てる4つの要因として、① 達成経験、② 代理経験、③ 言語的説得、④ 生理的・情緒的状態をご紹介しました。そして、これらを意識的に積み重ねることで、「自分にはできる」という信念を強化できることをお伝えしました。
では、この自己効力感は、実際のキャリア意思決定や行動にどのような影響を与えるのか見ていきます。
自己効力感がキャリアに与える3つの影響
自己効力感の有無は、キャリアの選択、持続、そして満足度のすべてにおいて、決定的な差を生み出します。
1. キャリア選択の幅を広げる(挑戦するか、諦めるか)
自己効力感が高い人は、「未知の領域でも学べばできる」と考え、リスクを成長の機会と捉えます。一方で、自己効力感が低い人は「失敗したらどうしよう」と考え、現状維持を選びやすい傾向にあります。
昇進の打診の事例:
- 高い自己効力感: 「新しい役割は大変そうだが、やってみよう」→ 新ポジションでリーダーシップを発揮し、キャリアの幅を広げる。
- 低い自己効力感: 「自分には無理だ」→ キャリアの成長機会を逃し、数年後、同僚との差が広がり自己評価がさらに低下する。
キャリア初期の選択は、その後の10年を大きく左右します。「挑戦するか、諦めるか」の分岐点で、自己効力感が羅針盤となります。
2. 行動の持続力を左右する(やり抜くか、諦めるか)
キャリアの成功は、最初の一歩よりも「続ける力」で決まります。自己効力感が高い人は、困難に直面しても「工夫すれば乗り越えられる」と考え、粘り強く取り組みます。一方で、自己効力感が低い人は、失敗や障害に直面すると「やっぱり無理だ」と諦めやすい傾向にあります。
DXプロジェクトへの挑戦の事例:
- 高い自己効力感: 「専門外でも学べば対応できる」と挑戦を継続 → 新しいスキルを獲得し、社内での価値を高める。
- 低い自己効力感: 「自分には向いていない」と途中で離脱 → 「変化に弱い人」などの評価を得る。
「やり抜く力」は、自己効力感によって支えられています。一度諦める習慣がつくと、次の挑戦も避けるようになり、キャリアの停滞を招きます。
3. キャリア満足度と成長感に影響する(充実するか、停滞するか)
自己効力感は、キャリアの「意味づけ」にも影響します。挑戦を通じて成長を実感できる人は、仕事にやりがいを感じやすい一方で、挑戦を避け続けると、長期的に停滞感や不満を抱きやすい傾向にあります。
ビジネス現場の事例:
- 高い自己効力感:「新しい役割をやり遂げた」「スキルを身につけた」という達成感が、キャリア満足度を高める。
- 低い自己効力感:「同じ仕事を続けるだけ」「変化に対応できない」という感覚が、モチベーション低下につながり、仕事が「義務」になり、キャリアの意味を見失う
キャリアは「点」ではなく「線」です。挑戦と達成の積み重ねが、キャリアに重みが増します。その起点にあるのが自己効力感そのものです。
自己効力感が「よりどころ」になる理由
令和のビジネス環境は、DX・AIの進展、ジョブ型雇用への移行などにより、かつてないスピードで変化し、不確実性に満ちています。
- 10年後、今の仕事はあるのか?
- 新しいスキルを学べるだろうか?
- 転職やキャリアチェンジに踏み出せるだろうか?
未来は誰にも予測できません。スキルや肩書きは時代とともに陳腐化し、終身雇用も保証になりません。唯一、時代に奪われない資産は、「学び続け、挑戦し続ける力」です。その力の源泉、すなわちキャリアの「羅針盤」であり「エンジン」となるのが、「自分ならできる」という信念=自己効力感なのです。
自己効力感を測る視点
自己効力感は、数値で測る心理テストもありますが、まずは日常の思考や行動パターンから簡単に自己診断できます。
以下の質問に、直感で答えてみてください。
Q1. 新しい役割を任されたとき、どう感じますか?
- A. 「大変そうだけど、やってみよう」
- B. 「自分には無理だ、失敗したらどうしよう」
Q2. 未経験のスキル習得が必要になったとき、どう考えますか?
- A. 「最初は難しくても、学べばできる」
- B. 「自分には向いていない、やめておこう」
Q3. 仕事で失敗したとき、どう受け止めますか?
- A. 「次はどうすればうまくいくか考えよう」
- B. 「やっぱり自分には無理だ」
Aが多い人 → 自己効力感は高め。挑戦を続ける力があります。
Bが多い人 → 自己効力感を高める工夫が必要。次回紹介するバンデューラの理論.4が役立ちます。
なぜこの視点が重要なのか?
令和時代のキャリアは、「正解がない世界で、自分で選び続ける」ことが求められます。そのとき、最も信頼できるよりどころは、「自分にはできる」という信念です。
Take-Home Message
キャリアの分岐点で問われるのは、スキルや知識よりも、「自分にはできる」という信念を持てるかどうかです。自己効力感は、キャリア選択の幅、行動の持続力、そして成長感を決定づけるキャリアのエンジンです。
次回はいよいよ、バンデューラの理論最終回です。「キャリア理論06|バンデューラの理論.4(自己効力感を高めるための戦略とキャリア支援)」として、個人・組織・キャリアカウンセリングの現場で、どう自己効力感を育てるかを深掘りしていきます。

この記事を書いた人
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Waseda University in School of Human Sciences (e-school)
Human Informatics and Cognitive Sciences
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