キャリア理論14|クランボルツの理論とノゾミさん

キャリアに
アイディアを

働くためのアイテム

働くためのアイディアって?

「働くためのアイテム」を探究することで、変化の激しい社会の中で、私たち一人ひとりが、主体的に自身の希望や適性、そして能力を生涯にわたって発揮できるます。私たちの未来をより豊かにするために、キャリアにアイディアというエッセンスを加え、働くためのアイテムを一緒に探っていきましょう。

挑戦し続ける力

自分だけの価値観で、豊かな人生をデザインする。

もっと自分らしく生きたい!そう思える社会、そしてより多くの人々が自分自身の人生と向き合い、より豊かな人生を送るきっかけつくりをHCCジャパンはお手伝いします。

前回のハンセン理論編を経て、人生の4つのL(労働・学習・余暇・愛)のバランスを見つめ直した57歳のノゾミさん。自分の人生というキルト(パッチワーク)に大きな空白があることに気づいたノゾミさんは、いよいよ「実践」のフェーズへと進みます。しかし、いざ動き出そうとした彼女の前に、新たな壁が立ちはだかっていました。

ストーリー:完璧な地図を探して立ちすくむとき

ノゾミさんは、そう小さくつぶやきました。

ノゾミさん

「間違えたくないんです。でも…、何が正解なのか、分からなくて」

在宅勤務の合間、都下にある自宅のダイニングテーブルで、

ノゾミさんは手帳を抱え込んだまま、小さくため息をつきました。

ハンセンのワークを通じて、「これからは自分のための学びや、

心地よい余暇の時間も大切にしたい」という方向性は見えていました。
先日、ふらりと立ち寄ったカフェ。
小さなノートに書き出した、遠い記憶。
学生のころ、もっと「心」や「情報の仕組み」を知りたかった自分。
その感覚が、何度も頭をよぎります。

しかし、いざ「じゃあ、何から始めればいいの?」と考えた瞬間、足がすくみます。

「心理学の通信大学? でも、時間もお金もかけるなら確実に役立つものじゃないと…」、

「それとも、まずはビジネスセミナー?」、考えては消し、また考え直す。

条件、費用、リスク。どれも正しく見えて、どれも決め手にならない。

気づけば、何も決まらないまま、時間だけが過ぎていきました。

背景の理論・計画的・固定的なキャリア観への一石

そんなノゾミさんの前に現れたのが、アメリカの心理学者ジョン・D・クランボルツ(John D. Krumboltz)です。

クランボルツは、「キャリアは、考えてから動くものではなく、動いたあとに形づくられていくものだ」と捉えました。

スタンフォード大学の教授であったクランボルツは、当時主流だった

「「自己分析 → 目標設定 → 計画 → 実行」という合理的なキャリア観に一石を投じました。
クランボルツは、激変する現代社会において、最初から完璧な計画を立てることの限界を指摘します。

そしてむしろ、キャリアは「行動すること」と「偶然にどう出会い、どう活かすか」によって形づくられていくものだと捉えたのです。

理論の概略・計画された偶然性理論

クランボルツの代名詞とも言えるのが、

「計画された偶然性理論(Planned Happenstance Theory)」です。

多くの人のキャリアは、本人が予想していなかった偶然の出来事によって、大きく影響されてきました。

だからこそ大切なのは、偶然を待つことではなく、偶然を活かせる状態に自分を置くこと。

そのために必要なのが、次の5つの行動特性です。

1. 好奇心(Curiosity):新しい機会に目を向ける

2. 持続性(Persistence):試し続ける

3. 柔軟性(Flexibility):変わることを受け入れる

4. 楽観性(Optimism):機会は活かせると信じる

5. 冒険心(Risk Taking):不確実でも一歩踏み出す

これらは、生まれつきの能力ではなく、後から育てるスキルです。

ドラマと理論・結果ではなく、行動へ

「完璧な地図がないと、怖いですよね」

カウンセラーはそう言って、シートを差し出しました。

「でもこれからの人生は、誰も正解を持っていない世界です。だから必要なのは、『計画』ではなく、

小さく動く力です。」
ノゾミさんは、はっとしました。

自分はずっと、「失敗しないための計画」ばかり考えていた。でも、未来の計画なんて、

そもそも立てられないのではないか。

カウンセラーは続けます。
「ノートに『心のこと』と書いたあの瞬間、好奇心はすでに動いています。だったらまずは、

結果を考えずに、一歩だけ動いてみませんか?」

数日後の夜。ハイブリッド勤務の出勤日を終え、帰りの電車の中で

ノゾミさんはスマートフォンの画面を開きました。

そして、かつてなら「仕事に関係ないから」と見過ごしていた、

社会人向けの「心理学・傾聴ボランティア体験講座」のページを開き、

ゴクリと息をのんで、申し込みボタンを押しました。

数日後の帰り道。電車の中で、ノゾミさんはスマートフォンを開きました。

画面に表示されているのは、「心理学・傾聴ボランティア体験講座」これまでなら、

「仕事に関係ない」と閉じていたページ。
指が、少しだけ震えます。そして、静かに、ボタンを押しました。

ノゾミさん

「どうなるかは分からない。でも、動いてみよう」

その瞬間、ノゾミさんは初めて、「偶然が起こる場所」に立ったのです。

Take Home Message

完璧なロードマップを探して、立ち止まらないで。

キャリアは、正解を見つけてから進むものではなく、
動いたあとに形づくられていきます。

どれだけ考えても、
未来を正しく選ぶことはできません。

だからこそ、あなたの中に生まれた「小さな好奇心」を、
見過ごさないでください。

その一歩が、思いもよらない出会いと機会を呼び込み、
あなたの道をひらいていきます。

セルフワーク・私の行動特性を呼び覚ます

さあ、あなたのノートを開いて、クランボルツの視点をあなたの人生に

引き寄せてみましょう。

【問い1】あなたが最近、なんとなく「気になること」

「おもしろそうだなと感じること(好奇心)」は何ですか?

(※仕事に関係なくても、何の役に立つか分からなくても構いません。

本屋でつい目がいくジャンル、SNSで保存した投稿、

遠い昔に好きだったことなどを思い出してみましょう)

Success

実際に書き出してみましょう

【問い2】その「気になること」に対して、今週、

あるいは今週末にできる「最も小さくて、リスクのない行動(冒険心)」を

1つだけ挙げるとしたら何ですか?

(例:関連する本を1冊買う、ネットで検索して関連講座を眺める、

詳しい知人に一言聞いてみる、など)

Success

実際に書き出してみましょう

次回は「ホールの理論とノゾミさん」

小さな一歩を踏み出したノゾミさん。 しかしその先で、新たな現実と向き合うことになります。
それは、避けては通れない「役職定年」という節目です。

自分の内側では、これまでにない静かな変化が生まれ始めている。
しかし、その一方で、現実の会社生活は、変わらず時間とともに進んでいきます。

出勤日のある日。ノゾミさんのもとに届いた「人事面談」の知らせ。

ノゾミさんは、ふとつぶやきます。

ノゾミさん

「会社における自分の上り坂は、もう終わってしまったのだろうか……」

せっかく見え始めた新しい章の光が、組織のレールという現実によって、再び曇ってしまいそうになる。

内側に芽生えた変化と、外側から突きつけられる現実。

その間で揺れるノゾミさんの前に、次回、もう一人の理論家ホールが現れます。

ホールが提唱したのは、「会社の階段を上ること」ではなく、自分自身の納得感を軸にキャリアを築くという発想でした。

次回の「キャリア理論15|ホールの理論とノゾミさん」では、環境の変化の中で、自らの形をしなやかに変えていく

「プロティアン・キャリア」の思想を紐解きます。

会社という外側のモノサシから、自分自身の内側のモノサシへ。
ノゾミさんが、「会社軸のキャリア」から「自分軸(心理的成功)」へと意識を切り替えていく、

その瞬間を一緒に見届けていきましょう。

この記事を書いた人

May 2022~

HCC Japan LLC

CEO

April 2023~

Waseda University in School of Human Sciences (e-school)

Human Informatics and Cognitive Sciences

March 1996

Tokyo University Of Agriculture in Faculty of Bioindustry

April 1996〜March 2022

Eli Lilly Japan K.K. 

Sales & Marketing
Sales Manager
Sales Operator

October 2023~February 2025

Waseda University Senior High School

Teaching Assistant (Information Technology)

April 2025~ July 2025

Waseda University School of Human Sciences

Teaching Assistant (Collaborative Learning and the Learning Sciences)

Certified
National Licensed Career Consultant, 25072525
Medical Management Specialist, Third Grade, 31310119010282

会社概要
-COMPANY PROFILE-

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